退職した人が会社の鍵を返してくれない

私が勤めているスーパーはシフト制なのだが、大まかに分けると早番と遅番がある。どのパートさんもバイトさんも早番か遅番になるので、うちのスーパーでは全従業員に鍵を渡すことになっている。社長が人間のできている人であるせいか、うちのスーパーは地域密着型の小さなスーパーにも関わらず、イオンなどの大型スーパーに潰されず、地元の人から地味に愛されているのが自慢だ。「いらっしゃいませ」よりも「こんにちは」という挨拶が飛び交っているのがその証拠である。

そしてこれまた社長が人間のできている人であるせいか、うちのスーパーに一度入社した人は――正社員だろうかパートだろうがアルバイトだろうが――働く期間が長いというのも自慢だ。今の時代、若い人なんかはすぐに仕事を辞めてしまうと聞くけれど、うちのスーパーで働く若い人たちは、就職先が決まるまで働き続けるという人が殆どだ。だから従業員同士みんな仲が良くて、ファミリーのような関係になる。

だけどたまに、ごくたまにだけど、そんなファミリーのような関係になじめないのか、すぐに辞めてしまう人も全くいないわけではない。先日雇ったパートさんもそうだった。初めて入った日から4日目には、無断欠席するようになってしまったのである。何度も電話をかけてもなかなかつながらず、ほとほと困り果ててしまった。何が困るって色々困ることはあるけれど、一番困るのが鍵だ。もちろん彼女にも入社した日に鍵を渡してしまっていたので、それを返却してもらわないと困るのである。留守番電話にせめて鍵だけでも返してくれないかと入れてもなしのつぶてで、あまり事を荒立てたくはないけれど、警察に相談したらとか、弁護士を雇ったらというパートさんたちの助言をありがたく頂戴しながらも、胃がキリキリと痛むばかりだ。とりあえず履歴書に書いてあった住所に直接訪ねることになったものの…胃薬を飲む毎日とは、もうオサラバしたい。